私は日本の賃貸物件はおかしい事だらけだと思っています。ある種怒りにも似た感情です。だいぶ前に以下のようなエントリーをしたことを思い出しました。根本的な考え方は今も変わっていません。
日本の賃貸マンションへの不満
特にイライラするのがお金の問題。「そういうもんだ」という考え方もあるかと思いますが、明らかに合理性に乏しく理不尽だと思います。中長期的に考えれば、人口は減少し不動産の方が余ることは確定的なので、いずれは自然と是正されていくはずですが、なぜ問題を先送りして、今対応する事で強みに変えるという力学が働きにくいのでしょうか。言い始めるとキリがないのでここら辺んでやめておきます。
そんな長年抱えていた賃貸物件に対する怒りですが、現在進めている物件探しの中でUR賃貸を検討した事で、一変しました。これぞ私が求めたいたフェアで合理的な不動産サービスのあり方だと。これが一般化すればたちどころに、民間の賃貸物件は淘汰されるほどの破壊力です。今回はそんなUR賃貸素晴らしさを紹介します。現在引っ越しを検討中の方、是非一度UR賃貸をチェックしてみてください。
目次
1, 初期費用が圧倒的にお得
まず、初期費用が通常の賃貸物件と比較にならないほどお得です。圧倒的です。以下に一般的な賃貸物件にかかる初期費用と、UR賃貸のものを比較します。前提条件は、賃料15万円の場合です。敷金についは同じ月数とします。
※前提:賃料15万円(管理費ゼロ)
① 敷金:2ヶ月分/30万円
② 礼金:1ヶ月分/15万円
③ 仲介手数料:1ヶ月分/15万円
④ 前家賃:1ヶ月分/15万円
⑤ 火災保険料:1〜2万円(1.5万円で計算)
⑥ 家賃保証:賃料の30%〜100%(50%で計算)/7.5万円
⑦ 鍵交換代:1〜2万円(1.5万円で計算)
合計初期費用:85.5万円
※前提:賃料15万円(管理費ゼロ)
① 敷金:2ヶ月分/30万円
② 礼金:かかりません
③ 仲介手数料:かかりません
④ 前家賃:後払いのためかかりません
⑤ 火災保険料:1〜2万円(1.5万円で計算)
⑥ 家賃保証:かかりません
⑦ 鍵交換代:かかりません
合計初期費用:31.5万円
いかがでしょうか?驚愕の結果です。差額はなななんと、54万円にもなりました。とんでもない金額です。上記UR賃貸の場合は、かからない項目が多かったかと思いますが、合理的に考えて必要なもの以外は入居者から徴収しないスタンスです。UR賃貸はいずれの物件も同じ料金システムになっています。前家賃と、家賃保証のところだけ分かりにくいと思うので後述で補足します。
UR賃貸の初期費用が安く抑えられるポイント
・礼金なし
・仲介手数料なし
・前家賃なし
・家賃保証保険の加入不要
・鍵交換代なし
※ 紹介者の成約で10,000円のQUOカードがもらえるキャンペーンも常時開催
Q,前家賃がかからない理由は?
A,UR賃貸の家賃支払いは「後払い」のため
通常の賃貸物件の家賃ですが、大半の物件が「前払い」を採用しています。翌月の家賃を前月の月末に支払うスタイルです。なので入居時点で翌月の家賃も前もって支払う必要があります。一方UR賃貸ですが支払いは「後払い」。当月の家賃を当月の月末期日までに支払います。なので前家賃という概念がそもそも無いのです。よく考えればこれはすごく分かりやすい。使った分だけ払うというシンプルなあり方です。
Q,家賃保証会社とは?
A,入居者が家賃を滞納した際に立て替える保証サービスの事
通常の賃貸物件の場合、大半が親族等の連帯保証人もしくは保証会社を利用する必要があります。保証会社に支払う料金の相場は安いところで賃料の30%〜高いところだと100%とのこと。さらに契約更新の度に費用が発生してしまいます。目的は大家の家賃回収リスクのためのサービスです。一方UR賃貸の場合は、そもそも保証人の設定が不要です。入居時に収入証明書と必要書類を提出するだけで、本人のみで契約が可能です。UR賃貸の運営母体は独立行政法人都市再生機構であり、住宅の安定供給を目的としているため、入居希望者が借りやすい状況を追求しているのが背景にあります。
あと個人的には、仲介手数料ゼロの理由が気になり、今対応してくれている不動産会社に質問しました。一般の不動産会社がUR賃貸を成約させた場合、UR側から不動産会社に仲介手数料が支払われるとのことです。それで合点がいきました。UR賃貸を広めるために不動産会社に対するメリットも考えられた優れた仕組みだと感じました。
10,000分のQUOカードがもらえる友達紹介制度も
その他、これでもか!という感じですが、UR賃貸に住んでいる人の紹介でUR賃貸への入居が決まった場合、成約者と紹介者それぞれに1万円分のQUOカードが進呈されるキャンペーンも常時開催中です。まさに至れり尽せり。
参考:UR賃貸のお友達紹介制度
2, 長期で見るとさらにお得
初期費用でそのお得さをかなり理解いただけたかと思いますが、それだけで終わりではありません。月々または、中長期でかかってくるランニング費用でもUR賃貸の方が群を抜いてお得になっています。条件は初期費用の時と同じで、賃料15万円の設定です。期間は5年間居住で比較します。
※前提:賃料15万円の物件に5年間居住(2年契約)
① 家賃:60ヶ月分/900万円
② 更新料:1ヶ月分×更新2回/30万円
③ 更新手数料:0.5ヶ月分×更新2回/15万円
④ 火災保険更新料:1.5万×更新2回/3万円
⑤ 家賃保証更新料:1万×更新2回/2万円
※④⑤はざっくりとした相場金額を反映
合計費用:950万円
前提:賃料15万円の物件に5年間居住(1年自動更新)
① 家賃:60ヶ月分/900万円
② 更新料:かかりません
③ 更新手数料:かかりません
④ 火災保険更新料:1.5万×更新2回/3万円
⑤ 家賃保証更新料:かかりません
⑥ 近居割を適応した場合:毎月賃料の5%OFF/-45万円
合計費用:903万円
合計費用:852万円 ※近居割適応時
こちらも通常の賃貸物件とは圧倒的な差が出ました。5年間で47万円。近居割が適応できた場合だと、98万円の差額です。初期費用と合わせるととんでも無い金額を節約する事ができます。UR賃貸は更新料がありません。契約期間も1年単位の自動更新です。そのため長く暮らせば暮らすほど節約効果は大きくなっていきます。私は更新料、更新手数料の存在がこの世で一番嫌いです。一番の理由は何のための費用か一切不明な点です。明朗ではありません。UR賃貸最大のメリットは、このように不明確な点、理不尽さを極力排除した入居者視点に立った所だと思います。
さらっと上記の中で紹介してしまいましたが、近居割含めUR賃貸では様々な割引キャンペーンが用意されているので以下に紹介します。これらと組み合わせる事で、月々の固定費をさらに圧縮する事が可能です。
UR賃貸のお得な割引キャンペーン(対象の物件あり)
近居割最大5年間家賃の5%減額
条件:親族世帯と近居し、いずれかの世帯が①子育て世帯②高齢者世帯③障がい者世帯であること
※近居割が適応される場合は、契約時の敷金も割引後の家賃で請求されます
U35割通常よりお得な家賃設定
条件:契約者が35歳以下かつ、3年の定期借家契約(更新なし)
そのママ割通常よりお得な家賃設定
条件:18歳未満の子供を扶養する世帯かつ、3年の定期借家契約(更新なし)
子育て割募集家賃の20%減額(最大9年間)
条件:子育てもしくは新婚世帯かつ、世帯の合計所得が月額25.9万円以下
※参考:詳しくはUR賃貸のお得な家賃プラン紹介
まず、割引という概念があるということに驚きます。民間の賃貸ではまずあり得ません。なおかつ入居者の世帯状況に合わせた様々なプランが用意されている点も本当に素晴らしいと思います。その他、非常に細かい点ではありますが、UR賃貸はPontaポイントとも連携しており、500円の家賃支払いごとに1Pontaポイント貯まる仕組みになっています。15万円の支払いであれば毎月300ポイント。年間で3600ポイントです。こういった細かな積み重ねが貯蓄体質を育み資産形成につながるので非常にありがたい仕組みだと感じました。
※参考:URでPontaの紹介
3, 入居希望者ファーストな内覧期間設定
これまでコストの面を中心にUR賃貸のメリットを紹介してきましたが、内覧の仕組みも非常に優れていると感じました。こちらも分かりやすくするために一般的な賃貸物件の内覧と比較していきます。
① 不動産会社に問い合わせor店頭で物件紹介
② 不動産会社通じて物件管理会社に内覧申し込み
③ 現地集合もしくは店頭からの案内で内覧
④ 人気物件の場合はその場で申し込む決断が必要
内覧〜決断に費やせる時間:数十分〜翌日中
① 不動産会社に問い合わせor店頭で物件紹介
② 気になる物件は申し込み資格を確認し仮申し込み
③ 物件管理事務所で内覧用の鍵を受け取り自由に内覧 ※原則1回
④ 申し込む場合は1週間以内に必要書類を提出
内覧〜決断に費やせる時間:1週間
通常の賃貸物件探しでストレスなのが、内覧から決断まで時間がない事が多い点。人気の物件は他の仲介会社経由でも申し込みがバンバン入るので、迷っている間に2番手3番手になってしまいます。なので大抵の場合は、不動産会社に急かされ、十分に検討する間も無く申し込みを入れざるを得なくなります。数年単位で見ると非常に高い買い物であるにもかかわらず、この現状は本当におかしいと思います。
UR賃貸の場合は、この問題も解決してくれます。仮申し込みから1週間は他の入居希望者は申し込みを入れる事ができません。いわばキープしている状態です。その間に内覧を済ませ、じっくり検討する事が可能です。仮申し込みの時点では当然早い者勝ちなのですが、このプロセスの方が圧倒的に合理的かつ判断を焦ることがないので、入居希望者ファーストの仕組みと言えます。
4, 内装や設備が綺麗かつ、いい感じのグレード
こちらは実際に私がUR賃貸の物件を内覧した時に感じたことと、担当の不動産会社営業から収集した情報になります。一部主観的な内容になりますのでその前提でご覧ください。
- 周辺環境や共有部分の状態は?
- 公園があり子育てに適した環境、ゴミステーション等管理が行き届いている印象
UR賃貸の中でも団地タイプやマンションタイプなど、様々な種類があります。私はマンションタイプの物件を内覧しました。まずは共有部分。ゴミステーションや駐輪場、物件周辺の植栽等、綺麗に保たれており、しっかり管理されている印象を受けました。公園も併設されており、敷地内の歩道もゆったりしているので子供とストレスなく過ごす事ができると感じました。またマンション内部についても同様の印象で、ゴミが散乱していたり、共用部に居住者の荷物が溢れてるといった致命的な問題は感じませんでした。
- 内装や水回り、占有部の設備は?
- 標準よりも設備は少しグレードが高い印象、内装は改装したてで普通に綺麗
ちょうど改装が入ったばかりの部屋という事で、綺麗さに少し驚きまし得た。水回りも全て新しいものに交換されており、洗面台が三面鏡だったり、お風呂のシャワーヘッドが分譲賃貸にあるような大きめで水圧の高いタイプのものが採用されていたりと、文句のない状態でした。不動産屋の担当者曰く、UR賃貸の場合は業者からまとめて手配するためグレードが高めの設備をコスト効率よく調達できているとの事でした。そういったことは、他のビジネスでもあり得る事なので納得できる話だと思います。
さらに、キッチンも同様で、3口コンロかつ天板も重厚感を感じるしっかりした材料が採用されており、普通に使いやすそうでした。その他内装についてはいたって標準的。デザイン的な特徴はありませんが、シンプルで良いと思います。クーラーについては、付いている部屋とそうでない部屋があり、必要な場合は入居者が手配する必要があるとのことでした。ここは民間の賃貸物件と違うポイントかもしれません。費用はかかりますが初期費用の節約で余裕でカバーできる部分なので問題に感じませんでした。具体的にイメージしたい方は、こちらにUR賃貸の物件種類が紹介されていますので、ぜひご覧ください。
※参考:UR賃貸の物件種類
5, 多彩かつ先進的な取り組みにも積極的
ここではUR賃貸の先進的な取り組みについていくつか紹介したいと思います。既存のサービスを磨きつつも、新たなニーズの開拓や、ライフスタイルの変化をすぐさまサービスに反映させています。
DIY住宅
UR賃貸のコスパはそのままに、内装を自由に改装できる賃貸物件です。改装期間を考慮したフリーレントも設定されており、しっかりスケジュールを組めば引越し前にあらかた改装を完了させる事も可能です。
IKEA賃貸
内装やキッチンにIKEAのものが採用されています。また入居者はIKEAによるインテリアコーディネートサービスがついており、部屋のテイストに合ったIKEA家具の提案を受ける事ができます。キッチンは備え付けてありますが、その他の家具は提案を受けて入居者が購入するかどうか選択するようです。
無印×UR
無印良品が手がける、UR団地のリノベーションプロジェクトです。全国ですでに50近い団地が無印のプロデュースでリノベーションされています。全てを一新するのではなく、構造や一部内装は残しつつ、帰るべきところに手を加えるスタイル。利用者がアレンジしやすい余白と、無印の家具や収納と組み合わせる事で利便性が高まる設計になっています。
在宅ワーク型住宅
ごく一部ですが、在宅ワークを支援する設備や通信環境が整った物件があります。会議室や多目的室が併設されており、自宅で仕事をする事が前提の設計になっています。
6, UR賃貸の注意点、デメリット
これまで絶賛しかしてきませんでしたが、少し冷静になり注意点やデメリットについても考えてみたいと思います。UR独自の申し込み資格については注意が必要かもしれません。契約にあたり保証人が不要という事もあり、収入基準が明確に定められています。例えば世帯で申し込む場合に満たすべき収入基準は以下の通りです。
世帯で満たすべき月収条件
・家賃8.25万円未満:家賃額の4倍以上
・家賃8.25万円以上〜20万円未満:33万円以上
・家賃20万円以上:40万円以上
※月収は総収入を12ヶ月で割った金額
この点だけ念頭において検討しないと、入居資格に該当せず申し込み自体ができなくなってしまう事もあるため要注意です。またコスパが高いので、とても人気があり尚且つ先着順なので条件の良い物件は争奪戦になります。ある程度検討期間に余裕を持って、希望条件に合う物件が出るのを根気強く待つ必要があります。
その他についてはデメリットという訳ではないのですが、デザイナーズのような凝った内装が好みの方には向かないのが正直なところです。共用部も内装も至ってスタンダードなので、非日常的な要素を期待する方はそもそも検討から外れると思います。
以上、6つの項目に分けてUR賃貸を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。最大の魅力はやはりコストパフォーマンス。既存の賃貸契約の慣習に疑問を感じている方は、一度は検討に値すると思いますので、ぜひチェックしてみてください!
7, 裏技?家賃設定がお得な部屋あり
こちらは私がUR賃貸物件を2ヶ月探し続け、なおかつ担当営業の方から聞いた内容なので、100%確証があるものではありません。といいつつも、仮説としては十分あり得るのではないかと思っています。
格安な部屋が存在する!?
毎日UR物件の情報をチェックしていると「あれ!?」と思う事があります。部屋の間取りや広さが明らかに広く、その他条件も同等なのに、他のUR物件に比べ数万円安い部屋がある…。事故物件か?とも思いましたが告知義務に当たる情報もなく、そうではないようです。私が探していた期間は2ヶ月ですが数件はそう言った部屋が出てきました。なぜか?以下は仮説です。
相場よりも格安な部屋が存在する理由(仮説)
・UR賃貸は長く住む人が多く、だいぶ前の家賃設定が引き継がれているのではないか?
・UR都市機構は民間企業に比べ営利を追求する組織ではないため、大幅な賃料改定が行われにくいのでは?
※こちらあくまでも仮説です。
上記のように感じたのは、幸運にも私が契約した物件がそうだったからです。明らかに同スペックの部屋よりも2万円ほど賃料が低く設定されていました。しかも契約タイミングが後数日遅れて月を跨いでいたら賃料が3000円上がってしまうタイミングだったとのこと。このことからも、居住中賃料が上がる可能性は示唆されるが、よっぽど周囲の相場と乖離しないと改定されず、退去〜新入居の場合も即時契約でタイミングが良ければ、賃料改定前の安い家賃で入居できるのでは?という仮説に至りました。
全てのUR物件に該当する事象ではないかもしれませんが、エリアを決めてUR賃貸をお探しの方は意識してみると気づく事があるかもしれません。