※写真はa calmより
巨匠を訪ねて第4段、日本の巨匠「渡辺力」さんについて考えてみます。僕は全然知らずに購入していたので驚いたのですが、うちの壁掛け時計、よく見るとこちらの写真の「リキロック」でした。全然飽きが来ないデザインで長く愛用させていただいています。
RIKI WATANABE – 渡辺力
日本に「デザイン」という言葉すら定着していなかった時代から、デザインに造形を深め、日本を代表するデザイナーとして業界を牽引してきた第一人者。(a calmより引用)
(METROCKSより引用 「カートンファニチャー(通称リキスツール)」)
(上記同様にMETROCKSより引用)
シンプルで暖かみのあるデザインかと思えば、リキスツールのように、ちょっとユニークなデザインもあり、多面性のある方だなと感じました。
以前このサイトで書かせていただいた、フィリップ・スタルクの作品とは対極の印象を受けます。日用品の中の魅力を、渡辺さんのデザインでちょっとだけ引き出した。そんなイメージでは無いでしょうか。
おそらく時代背景としては、戦後そこまで時間が経っていなかった時だと思います。皆が豊かさを求める中で、デザインは必要な要素ではなかったと想像します。
しかし、渡辺力さんのデザインのように、日用品の魅力をさりげなく引き出す力が人々の生活に潤いを与える上で、大きな役割を果たしたのではないでしょうか。
例えば、あの時代にフィリップスタルクの作品のような、家具の常識を打ち破る前衛的なデザインのものであれば、全く受け入れられなかったと思います。(おそらく実用性が最も重視されていた時代だったため。)
自分たちの生活を豊かにする日用品という前提を忘れずに、そこにデザインのスパイスをぱらぱらと振りかけた。そんな絶妙な力加減が、無意識のうちに「デザイン」というものの価値を認めさせ、今日のプロダクトデザインの発展につながっているのではないでしょうか。
渡辺力さんがどこまで時代を読み、計算してデザインされていたかは分かりませんが、その時代の人々に必要とされている物の本質を見抜く能力を養う事は重要だと感じました。
「本質」というと何か難しい事のようですが、自分の身近な人を思い浮かべ、その人の生活がどうやったら豊になるか?そこに誠実に向き合う事で、自然と時代の必要を満たした物になっていくのだと思います。
日本のデザイン黎明期を支えた巨匠達に興味がわいてきました。近いうちにもっと掘り下げて調べてみたいと思います。