インテリアの巨匠を訪ねて、第3弾。
今回は、「近代照明の父」と呼ばれたポールヘニングセンです。
POUL HENNINGSEN – ポール ヘニングセン
1894年デンマーク生まれ。独自のロジックにより誕生した、ルイスポールセン社の「PHランプ」はあまりにも有名。ランプ自体のデザインやフォルムをどう見せるかでは無く、人や物、空間を光によってどのように照らすかをテーマとした作品は、時代を超えて世界で愛されている。(hhstyleより引用)
(JDN掲載写真)
彼の代表作は「PH5」という3枚のシェードがついたペンダントライトだそうです。(このページ最上部のライトです)
彼の作品作りのテーマとしては、照らし出される人や物、あるいは空間を理想的に見せるための「良質な光」の追求という事です。どのように空間を照らすか?を考えるときに、その空間にいる人、物の事をまず考えるという事だと思います。
この考え方は、一見とてもシンプルに見えますが、ものづくりの過程においては、とても重要で難しい事なのではないでしょうか?
自分もそうなのですが、何かを創っていると、「自分はこうしたい」「こうの方が絶対にかっこいい!」といった作り手のエゴが出てきます。それが理にかなったものであれば良いのですが、独りよがりだった場合、完成したものは周りがみて良いと言える物にはならないのではないでしょうか。
ポールヘニングセンは、照明をデザインしながら、ひたすらその空間にいる人が幸せな気持ち、あったかい気持ちになるにはどうしたらいいか?を考え続けたに違いありません。
彼の作品の特徴である、直接光源を見せない「グレアフリー思想」はそんな想いが生み出したのだと思います。けっして眩しくなく、かといって暗い訳ではなく、暖かい光で空間全体を照らす。
この複雑な形は、一見機械的で無愛想に見えるのですが、光をつけたとたん、ポールヘニングセンの愛情いっぱいの光を放つのです。
カッコいいですね。
マスターピースの裏には、デザイナーの技術ももちろんですが、それを使う一重の愛情も沢山詰まっているのだとこのライトは教えてくれている気がします。