意外な出会い
緊急事態宣言も解除され、夏の衣類を求めてパタゴニアの店舗を訪れました。そうすると入り口付近に急に飛び込む見慣れない缶の山。近づいているとそれはビールの山でした。パタゴニアがビール?頭の中で全く結び付かず、一瞬混乱してしまいました。
パタゴニアといえば皆さんご存知の通り、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」を企業理念として掲げ、材料や、作り方、流通方法、販売方法、リサイクル等、全ての過程において環境負荷を第一にした製品を生み出す企業です。ビールがこの企業理念とどう結びつくのか?非常に興味が湧きました。
パタゴニアがビールを作るとこうなる
なぜビールなのか?
なぜビールなのか?その答えは、カーンザと言う多年生穀物の存在、そしてカーンザが「リジェネラティブ・オーガニック農業」と言う栽培方法に適した植物だと言うことがポイントになりそうです。
カーンザが優れている点
・一般的な小麦が1年で枯れてしまう1年生なのに対し、何年も生きる多年生
・多年生であることで畑を耕したり農薬を使う必要性がない
・根が非常に長く3m以上、土壌の浸食を防ぐ
・少ない水で育つ
・多年生のためより多くの二酸化炭素を地中に閉じ込める
パタゴニア公式サイトより抜粋
このような視点でビールの原料について考えた事が今までありませんでした。環境に良い影響を与える作物でビールを作る事で、それを消費する事自体が地球を救うことにつながる。製造のプロセスにこそ、パタゴニアの製品に対する考え方が最も反映されていると感じました。作物ありき、農法ありき。まさに地球を救うことにつながるのか?と言う問が生み出したビールです。
ビールだけでなく、パタゴニアの衣類に使われているコットンに関しても同じ考え方が採用されています。冒頭に紹介した「リジェネラティブ・オーガニック農業」がそれにあたります。
リジェネラティブ・オーガニック農業とは?
・オーガニックであること
・主作物にくわへ、土壌浸食を抑える被覆作物を同時に育てる
・農業廃棄物をコンポスト(堆肥)として利用
・同じ農地に違う作物を一定周期で栽培する輪作を行う
・複数の作物を密接に植える間作を行う
・土壌を耕さない不耕起栽培
パタゴニア公式サイトより抜粋
リジェネラティブ・オーガニック農業は、1種類の作物を選択して行う大規模耕作と全く逆のアプローチだと理解しました。土壌の健康を第一に、それを追求することで実は生産性向上や収穫量が増えると言う考え方です。農法の違い。パタゴニアの考え方をより深く知ることで、自分の中に製品を選択する際の新たな選択基準が自できました。
以下にこの農法を理解する上で、助けとなる動画を掲載しておきますのでぜひチェックしてみてください。
地球を救うためのパタゴニアの活動
肝心のビールの味はどうだったかと言うと、めちゃくちゃおいしかったです。ウイットは非常に飲みやすく、ペールエールはくせになりそうな苦味でした。地球環境を追求することは、品質を諦める事ではなくむしろ高めることにつながると言うことなのだと思います。ビールだけでなくパタゴニアの活動は常に一貫しています。その中でも私が知っているものをいくつか紹介します。
レジ袋廃止、エコバックシェアリングを開始
いち早くレジ袋の廃止を決断した企業です。また昨今では、エコバックが大量消費される傾向もあり、エコバッグを売るのではなく、不要なエコバッグを回収し、シェアする仕組みも導入しています。
参照:https://www.patagonia.jp/blog/2019/11/carry-your-favorite-bag/
衣服はその大半がリサイクルもしくは、再生可能原料を使用
64%がリサイクルされた原料で、さらに24%が再生可能原料で作られているとのこと。パタゴニアの製品を選ぶことは、有限な資源を有効活用する輪に加わると言うことを意味します。消費行動自体がリサイクルとなり、最終的に地球環境を守ることにつながります。
参照:https://www.patagonia.jp/why-recycled/
1% for the Planet
売り上げの1%を自然環境の保護、回復に充てると言う活動を1985年から継続的に続けています。利益の1%ではなく、売り上げのと言う部分がポイントです。パタゴニアで商品を購入することで我々は、自動的に環境保護の手助けをする事ができるのです。消費者と企業の一番の接点は購買です。その1つ1つの機会すら地球を救うために存在すると考えると、普段の消費を大事な選択として考えさせられます。
参照:https://www.patagonia.jp/one-percent-for-the-planet.html
おわりに
実際、全ての製品をパタゴニアで賄うことは不可能ですが、パタゴニアで物を買うと言う経験を通して、消費に対する考え方や、他の製品の選択方法を改めるための基準を獲得する事がで切ると感じました。まずは自分の中で、実現可能な範囲から1つ1つ行動を変えていく。確実に、持続的に実行していくことから始めたいと思います。