空き家問題について調べる過程で知った言葉に「空き家バンク」というものがあります。同時に「空き家」情報の流通にはまだまだ課題があるということがわかりました。検索性と網羅性の問題です。
空き家バンクとは
市区町村が中心となって居住者のいない家を活用し、地域振興などにつなげるために空き家を紹介する制度。
コトバンク
「空き家バンク」という言葉で検索をかけると以下の様に地方自治体のWEBサイトを見つけることができます。
・埼玉県 空き家バンク
・長野件 空き家バンク
・香川件 空き家バンク
などなど
県単位で、移住ポータルサイトとしてコンテンツが充実しているものもあれば、市や町単位のものなど、ばらつきがあります。住みたいエリアが決定している場合は問題ありませんが、場所の検討からの場合は情報量にもばらつきがあり比較検討がし辛いという課題があります。
全国版空き家バンクの取り組み
検索性の課題を解決する取り組みとして、「全国版空き家バンク」があります。国土交通省が主導するモデル事業で、不動産ポータルのHOME’Sとat homeの2社がモデル事業者として、全国版空き家バンクを展開しています。
空き家・空き地等の流通の活性化の推進(国土交通省)
WEBサイト:https://www.akiya-athome.jp/
参加自治体数:391(2019.3.22時点)
通常の不動産ポータルサイトのように条件を指定して検索が可能です、ただし物件の詳細ページを閲覧しようとすると、各自治体サイトの物件詳細ページに遷移します。
WEBサイト:https://www.homes.co.jp/akiyabank/
参加自治体数:544(2019.3.22時点)
通常の不動産ポータルの機能に加え、町の簡易的な情報、地盤・防災マップなど、移住時に検討者が意識する情報が掲載されています。また、物件詳細情報もHOME’S内で完結しており、同じフォーマットで物件の比較検討がしやすいです。地方自治体サイトで確認したい場合はそちらへのリンクも設置されています。
情報を集約し、プラットフォーム化する非常にいい取り組みだと思う一方で、掲載されている物件数はまだまだ少なく、網羅性の低さは課題として残ると感じました。
空き家情報の網羅性に関するデータ
日本政策投資銀行グループの価値総合研究所が平成29年に行った調査によると、地方自治体の約6割が、空き家情報の網羅性を全体の1割以下と回答したとのことです。
空き家バンク自体の認知不足と、登録事務作業の煩雑さ等のシステム課題の大きく2つがあるようでした。後者はテクノロジーでいずれ解決される問題ですが、認知拡大については、工夫が必要だと感じます。
空き家相談の担い手を地道に育成し、地域活性化の成功事例を増やす一方で空き家の定義を明確化し、該当するものは登録の義務化、もしくは自動的に登録される仕組みがあっても良いのでは無いでしょうか(登録しない場合は税制の優遇措置が受けられない/登録することが受けられる条件にする等)。
空き家の発掘をマンパワーでやるのは非常に大変です。全国に数百万存在する空き家情報が現になることで、活用機会も大幅に増えることが期待できると思います。
今後上記の様な判断がなされるかどうか、国土交通省とモデル事業者の動きは継続的に注目していきたいと思います。